機械仕掛けの夢





遥か彼方の青い空を夢見ていた。
いつか、あの空の彼方まで行けると信じていた。
手を伸ばせば、それらを掴み取れると思っていた。
空に向かって手をかざす。
太陽の光が眩しくて目を細める。
手のひらから零れ落ちる、光―――。


■□■□■□■



雨が降っていた。
廃墟と化した街に、雨が降っていた。
人と機械の戦争の後、人間は廃棄した機械を一箇所に集めた。
その数は膨大で、一つの街を覆いつくしてしまうほどであった。
いつしか人々はその街のことを「瓦礫の街」と呼ぶようになった。
また、どこかで見つけられたのだろう。
荷台にたくさんの廃棄された機械を乗せた車が、街へと入ってきた。
車が止まると、そこから四、五人の人間が降りてくる。
まるでごみのように、次々と機械を放り投げていく。
最後の一体を放り投げると、「こんな所に長居はごめんだ」とばかりに素早く車に乗り込んだ。

バランスが悪かったのだろうか。
積み上げられた機械の山から、一体の機械が転げ落ちた。
酸性雨で身体は錆びつき、人の形の面影さえも失い始めていたが、何とかそれがアンドロイドであることが分かった。
そのアンドロイドは、まるで手をかざして空を見上げているかのように見えた。
けれど、今そのアンドロイドの光をなくした瞳に映るのは、重く立ち込めた灰色の雲と、冷たく降り注ぐ雨だけだった。

それは、機械が見た、最後の夢―――。

<了>




この作品は、[ 0 ]-SYSTEMさんが新春特別企画で配布していた素材があまりにも素敵で、どうにかその素材に合うような話を作りたくて書いたものです。(単に素材が使いたかっただけとも言う)
イメージをそのまま書いたので、作品として完成しているとは言いがたいのですが、実験的にアップしてみました。イメージ小説、というのが一番正しいのでしょうか?
何か、長篇のプロローグみたいな感じにも取れますね。機会があったら、長篇として書いてみたいです。


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